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見えない木Ⅲ~修行僧の物語~☆
- 2015/11/11(水) 14:50:38
北国から、日光へ。
ひたすら歩きつづける少年僧の目に入るものは、風景ばかりではない。
ところどころの宿場町には、貧しさゆえに苦界に身を落とした女たちが大勢いた。
それはにぎわいとなり、灯りとなり、
もはや一つの風景のようなものだった。
少年僧は、よくある風景として見過ごすこともできたのだが、
そこだけは黙って立ち去ることができないでいた。
そこにはまだ宿場町ができるずっと前から住んでいるたぬきたちがいて、
女たちをずっと見て、心を痛めていたのだ。
たぬきたちは少年僧に訴える。
助けて。
使い物にならなくなった女たちが池に投げられてる。
餌をくれた細い手が、池に沈んでいくよ。
若すぎる少年僧は、できるだけの供養をしたというのである。
今そこは普通の田舎の街道であるが、
私に語りかけてきたその声は、老成した苦渋に満ちた声で、その時代にやり遂げられなかった供養の仕方を私に伝える。
同席していた友人には、女たちの声が届けられた。
若いお坊さんにお礼が言いたかった。
身体はどうにもならなかったけど、気持ちはとてもうれしかった。
ありがとう。。。
そして、この後も供養してもらえるならば、女性に供養してほしい。
ああ、
だから?
だから、今のこのメンバーがここに集まったの?
同じ時に、同じ物語を共有した私たち。
近い将来、きっとこの天涯孤独な女たちの哀れを、
浄化できますように。
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